「当たり前を当たり前にやる」 税理士の仕事で普段から心がけていること

「当たり前のことを当たり前にやる」

新社会人の時に、上司からよく言われた言葉です。挨拶をする、身だしなみを整える、整理整頓をする、などなど。基本的な所作のことから、仕事の進め方までいろいろな場面で言われました。

しかし、仕事に慣れてきたり、ここは大丈夫だろうと確認を怠ったりすると、うっかりミスや、思わぬ事故になることもあります。過去に私も、いつもするチェックを怠って大きなミスをした経験があります。基本を大事にし、決して驕らぬ姿勢が大事だと反省させられました。

今回は、私が普段から「当たり前にやるように心がけていること」について書いています。

時間を守る

時間を守ると書くと、いい大人だから当たり前じゃないかとつっこまれそうですが。これが意外と守れないというか、守れなくなってくることがあります。

仕事を覚えたての頃は先輩に「約束時間は絶対守れ。もし遅れそうなときは事前に連絡をしろ」とよく言われました。そのため、今は10分前には目的場所に到着するように心がけています。

(早めに着いて読書などで調整しています。遅れそうだと、気持ちがソワソワするため早めに着いた方が精神衛生上良いという自分の性格もありますが。)

また、税理士の仕事では経営者の方と毎月ないし隔月ごとに打ち合わせを行います。経営者の方は多忙のなか打ち合わせ時間を割いていただいています。そのため、その約束時間を守るのは当然として、その打ち合わせのための事前準備を怠らないようにしています。

以前紹介した「キーエンス解剖」では、「事前に上司と部下で商談準備のすり合わせを行うことが成約率の向上につながる」と書いてありましたが、何の仕事でも事前の準備は大切だと思います。

仕事は前倒しのスケジュールでする

法人の決算確定申告や、個人事業の確定申告など、税理士業は仕事の期限が決まっているものがほとんどです。法人の申告期限は、事業年度終了から2カ月以内、個人所得税は3月15日まではご存じの通りです。

では、その申告期限に間に合えさえすればいいのかというと、そうとは考えません。前倒しで仕事を進めることで気持ちに余裕ができ、凡ミスも減ります。また、万が一に処理を誤っていたとしても、それに気づく時間があります。

そして、相手先のお客様にとってもメリットがあります。前倒しで仕事をすることで、判断に迷う事案が発生したときには経営者の方は考える時間をより長くとることができます。(申告期限ギリギリに、この処理どうしましょう?と相談されても困りますよね。)

早め早めの仕事をすることは双方にとってメリットがあることです。

質問にはきちんと答える

税理士の仕事に「税務相談」があります。簡単な内容の質問もあれば、即答できないような難解なものもあります。

各々の相談者の方の状況に応じて、法律の適用も変わってきます。そのため、丁寧に事実確認を行いながら、ご相談内容にお答えします。その場合に心がけていることは「相手の方の相談には120%でお返しする」気持ちで仕事に取り組むことです。

また、街の税理士は、税金以外のご相談もお受けします。専門外だからと断ってしまえば簡単ですが、小規模の事業者の方は普段から専門化とのつながりが薄いため、その後どこに相談していいかわからなくなってしまいます。

そのため、可能な限り専門外のことでもお応えするようにしています(ただし、業務侵害にならない範囲で)。そして、専門化につなぐ必要があるときは、しかるべき専門化へ橋渡しをします。

会社の事業内容を深く理解する

仕事では税務業務と一緒に財務相談もお受けします。その場合に、その業界や会社の事業内容を深く理解する努力が必要だと考えます。

例えば、同じ飲食業でも居酒屋形態と焼き肉屋では利益率や回転率も違います。中心地の店舗と郊外の店舗では客層も違うでしょう。そのため、決算書からみえる売上や経費の数字だけではその会社の事業を深く理解するのは難しいと感じます。そのため、現場を知るないし、ビジネスモデルを理解する努力が必要です。

そうすることによって、経営者の方との会話ももう一段深いところで出来ると思います。

提案をする

単に資料を預かって、決算書を作成し、税務署に申告をする。こういった受け身の仕事はしないようにしています。これは、税理士業に限った話でありませんが、なんの仕事でも受け身の仕事を良しとしないのは当たり前のことです。

税理士に対する不満で「なにも提案してくれない、言われたことしかやってくれない。」という話を聞いたりもします。そうならないためにも、「こういう考え方があります、こういう方法も検討できます。」ということはお伝えするようにしています。

また、お客様が現在お困りだと思っていることでも、お話を聴き進めていくと、本当は違うお困りごと(ニーズ)があることもあります。そのため、コミュニケーションを取りながら、しっかりニーズをお聴きすることも大事だと考えます。

例えば、法人で生命保険の契約が複数あった事例があります。調べていくと既存契約では保障が過大であったこと、返戻のピークが過ぎており、解約して現金に換えた方がよいことがわかりました。税務とは関係ありませんが、法人経営にとっては大切なことです。こういった、日頃から数字を見ている立場でないと気づけないこともあります。

そのため、これは会社にとってプラスだと思うことは提案ないし発言するように心がけています。

良い節税を行う

「節税」もよく聞く言葉です。では、節税をする意味はなんでしょうか。もちろん、「できるだけ納税額を少なくする」という答えが真っ先にあるでしょう。

しかし、節税にも、良い節税と悪い節税があります。そのため節税の結果の望む未来は、(法人であれば)会社にお金を残し、お金の残高を増やすことだと考えます。

そのためには、常に最新の情報にアンテナをはって情報収集を行い、その制度をきちんと利用することが良い節税につながります。例えば、給与が増加した場合に適用できる「賃上げ促進税制」や「中小企業経営強化税制」は税額控除が行える制度です。

他にも、特別償却というものがあります。経営者の方は、一度は聞いたことがある言葉でしょう。では、特別償却する意味はどうでしょうか。

「長い目でみれば償却する額は同じでしょ」と言われる方もいらっしゃいます。ですが、会社経営は将来なにがあるかわかりません。特別償却をすることにより経費を前倒しすることは資金繰り改善にもつながり、目先では納税額も減ります。

様々な考え方があると思いますが、最終的に手元にお金が残るような節税をご提案していきたいと思います。

まとめ

「当たり前を当たり前にやる」について、私自身の仕事に置き換えて書きました。細かい仕事内容は他にもありますが、普段心がけていることについてまとめました。

人は誰でも慣れてきたところに驕りが生まれます。そうならない為にも「初心忘るべからず」の気持ちが大切です。そうした基本的な仕事の先に、オリジナルのサービスがあると思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次