【書籍】キーエンス解剖 人材育成の仕組みがすごい。

なにかと話題の会社「キーエンス」。どんな会社だろうとずっと気になっていました。

今回は、西岡杏さん著書「キーエンス解剖」の本について。

キーエンスという会社名は聞いたことがあるかと思います。営業利益率が55%(製造業でどうしてこんな数字がでるのとビックリ)。社員の平均年収は2,200万円(あくまで平均です。役員の給料ではありません)。

いろいろな数字を聞くと、本当なのとビックリする数字ばかり。 私も平均給与が高いのはニュースなどで聞いて知っていましたが、どのようにして高い利益率を出しているのか、社員の方の働き方は他の日本の企業とどう違うのだろうと等々、出来ればなにか真似ることができて、会社経営に活かせるものはないのかなと思っていました。

目次

キーエンスってどんな会社

(株)キーエンスは大阪に本社を置く会社です。自動制御機器や計測機器などを製造販売しており、BtoBの事業者間取引がメインです。そのため、一般消費者にはあまり馴染みがない会社になります。

キーエンスがメディアで取り上げられ話題になるのは、やはりその平均年収と利益率の高さだと思います。従業員の平均年間給与は2,183万円、売上高営業利益率は55.4%(2022年3月期)

キーエンスの数字は日本企業のなかでも突出しているものばかりです。 ここまでの数字を出す会社であれば、これは「ブラック企業」ではないのかと思われる人もいると思います。実際にブラックかどうかはわかりませんが、キーエンスの社員は「とにかくめちゃくちゃ働く」と言われます。

仕事に対する価値観は人それぞれですが、やりがいを求めて一生懸命働きたいという人は一定数います。特に若いときは、ハードワークでもいいので経験を積みたいという人も(当の私もこの考えでした)。 そして、本にも書いてありますが、キーエンスの社員は、「一人一人が経営に参画する意識を持っている」そうです。自分の会社だと思って働くのであれば、ハードワークもそんなに気にならないのでしょう。

経営者の立場からすれば、社員が自ら考えて能動的に働いてくれる、そんな会社は理想だと思います。

社風・企業文化の大切さ

会社には社風だったり、企業文化があります。同じ業界の会社でもA社は現場の人はキビキビしている、B社はゆっくりしているなど、それぞれの会社に特徴があります。

通常は企業文化を根付かせ、浸透させるには時間がかかります。それでは、そこまでして企業文化を根付かせる必要性はなんでしょうか?

企業文化は企業と従業員との間で意識的、無意識的に共有されている独自の価値観や行動規範をいいます。創業社長であれば、自分で一からつくりあげた会社ですから、その人のカラーが色濃く出た企業文化ができます(好し悪しは別として)。ただし、これが2代目、3代目となってくると、創業者のようなカリスマがなくなっていき、だんだんと企業文化も衰退していくことが多いと感じています。

本のなかでキーエンスOBは、「あまりに普通で、取材しがいがないでしょう」と言われています。キーエンスは特別な才能を持った人たちの集まりではありません。「当たり前のことを当たり前にやる」を非常に高いレベルで行っている集団です。それを実行できるように、仕組みをつくり、その仕組みが役立つように本気で運用を徹底しています。それも最後の最後まで手を抜かずに。

これは、日本電産の永守流語録でもあります。「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」と。

経営者が口をすっぱくして言っていることは、従業員は必ず聞いているものです。これは特に規模が小さい中小企業に当てはまります。経営者の考えが伝わって、それが暗黙知のその会社の社風になっていくのではないでしょうか。

また、キーエンスでは、人は弱いものだという「性弱説」に基づいて仕組みをつくっています。人は楽をしたいときもあれば、怠けたいときもある。だから社員がなにをしているのかガラス張りにして、いい数字も悪い数字もみて、評価をしています。

性弱説を聞いて思い出した言葉に「三日坊主」という言葉があります。一般的には、すぐ飽きてしまうことを指します。一方で、人は三日でモチベーションが下がるのは当たり前だという考え方もあります。そのために、三日ごとにモチベーションを上げる方法(仕組み)を作る必要があると。

ところで、ガラス張りだと常に監視されていて嫌だと感じる人もいるかもしれませんが、これも企業文化なのだと思います。最初から、「良いところも悪いところも可視化して評価します」、これが普通ですとなっていればあまり違和感はないのではないでしょうか。そして、監視ばかりだと負の要素が大きくなりますが、その評価が給与と結びつく仕組みもあわせて作ってあります。

キーエンスの人材育成

私が一番興味を持ったのが、キーエンスの「人を育てる仕組み」です。キーエンスでは「優れたホームランバッターがいるというよりは、どちらかというとアベレージヒッターをしっかりそろえて、平均値を上げながら強化をしていく」という考え方です。そして、その平均値をあげる教育の仕組みがすばらしい。

以下、本からの抜粋です。

  • ロープレ1000本ノック。顧客との商談のシミュレーションをするのは、新商品の発売前などの特別なタイミングだけではない。10分から15分ほど手短に、だが毎日繰り返す。入社して1年半は、朝昼夕毎日あった
  • 「外出報告書(外報)」にどんな準備をしたか、どこを訪問して誰と会ったのか、そして反応はどうだったか。すべてのやりとりを記入する。この報告書には、当日の成果だけでなく、翌日以降のミッションや訪問先についても書く
  • 外報を使いながら上司と商談内容をすり合わせる。この時、当日の成果だけでなく、事前準備の内容まで確認する。事前報告の重要性を理解していても実行できている企業は圧倒的に少ない。
  • 外出1つから目的を問う。目標意識・目的意識・問題意識をもって常に前向きに行動する。
  • 営業担当の上司が顧客に対してフォローの電話をかけることがある。「〇〇がお伺いしましたが、提案は満足いただけましたでしょうか」と。この目的は、第一に顧客の満足度を確かめるため、第二にサボりの発見。内部の自浄作用も兼ねる。
  • 情報の囲い込みはダサい。キーエンス全体としてどれだけ顧客の役に立てるかが重要。社員も会社全体が儲からないと、賞与が増えない認識をもっている。ノウハウの共有を仕組みで実現している。

武道で「守破離」という言葉がありますが、新人教育はまさに、型を覚えさせる守を徹底しています。営業に行ったら、「ここまではつっこんで聞いてくる」ということまで教えるそうです。個人の能力に頼って業績を伸ばすのではなく、教育を仕組み化して、ここまでやれば出来るようになると、仕組みが徹底的に作りこまれています。

また、上司と事前報告を行うことは、新人の目線では気づかない事を上司が拾い上げ、本商談の前に準備をさせることができます。これができると、事前準備と本商談で通常より多くの経験値を得ることができ成長スピードが速くなります。

キーエンスは、「最小の資本と人で最大の付加価値をあげる」という考えがあり、ロープレを行うことも、ホウレンソウをすることも、付加価値最大化のための手段なんだと思います。

最後に、これだけの高年収企業ですが、社員の評価は成果主義だけではないとのことです。「社員の評価はプロセス重視。行動を変容させれば結果がついてくる」という考え方に基づいています。若い社員はプロセスの比重を多く、ベテランになるほど、結果の比重を多くしてバランスを取ってあります。

結果だけを評価対象にすると、営業は有益な情報を抱え込んでしまう可能性があります。プロセスを重視する、そしてそれを評価基準にしてあることがキーエンスの人事評価のポイントです。そして、その行動が自然と成果に結びつくように、行動KPIを考えつくしてあります。

例えば、電話アポ100件で成約が3件という統計があれば。3件に評価の焦点をあてるのではなく、100件の行動に注目する。一定数の電話をすれば成約が取れるというデータも基に、行動を促す仕組みをつくっているのでしょう。

また、情報共有にも意識(報酬)を向けさせています。賞与基準も、前提が会社が儲からないとボーナスがでないことをみんなで共有しています。

まとめ

ここに書いたのはキーエンスの特徴の一部です。また、本を読んでの私なりの理解であることはお断りしておきます。

話しを聞くと、特別なことではないことが多いです。うちの会社でも出来そうというのもあると思います。キーエンスの凄いところは、その当たり前のことを徹底して行っていることです。 こういう行動をしたら、この結果がついてくるという科学的な根拠をもとに行動する仕組みをつくる。人事評価も、その行動と結びついている。会社の社風も、それが当然となっている。目的意識をもって、なぜそれをやるのかの意識が明確であると。

「徹底的に真似る」という言葉があります。一部でも参考になるものは真似て行こうと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (1件)

目次