ポスコロ融資は「アクションプラン」「伴走支援」がキーワード

早朝の天気がよく、雲海?が撮れました

先日九州財務局主催のセミナーに参加してきました。事業再生等の事業者支援策がテーマでした。特に気になったものは、中小企業の資金繰り・再生支援に関する施策です。

2023年の夏以降に元金返済のピークを迎えるといわれるゼロゼロ融資(実質無利子・無担保のコロナ融資)への対応は緊急の課題となっています。

当ブログでも以前取り上げたコロナ借換保証」は、ゼロゼロ融資からの借り換えに加えて、他の保証付融資からの借り換えや、事業再構築等の前向き投資に必要な新たな資金需要にも対応する新しい保証制度です。

今回はセミナーに参加して感じたことや、融資に限らず企業経営でも今後ますます重要度が高まるアクションプラン伴走支援について書いています。

目次

ポストコロナへの対応は

コロナ禍では、非常事態ということもあり、金融機関も本来は貸し出ししないであろう企業にも積極的に融資してきました。また、実質無利子・無担保などの破格の条件もありました。

しかし、ポストコロナの金融機関の動向をみると、ゼロゼロ融資のような新たな追加融資の支援策は用意されていません。

今年の1月に創設された「コロナ借換保証」や日本政策金融公庫の「資本性劣後ローン」(借入金を資本とみなして、新たな借入をしやすくする方法)を活用したつなぎ型の融資で資金繰りを支援するといった方策がメインとなりそうです。

また、融資ではないですが、コロナ後の前向きな事業投資の資金需要に応えるための政策として事業再構築補助金が準備されています。事業再構築補助金は、売上高減少要件が撤廃されたことで、成長企業に対しても支援される方向となりました。

政府等、債務が増大している企業や成長企業などに分けて、それぞれの事業者の状況に応じて支援をしていく形になります。

事業者側も、自身の立ち位置がどこにあるのかを認識して金融支援を受けていくことが必要です。資金繰りも安定していて、稼ぐ力も回復したのであれば、金利の低い融資への借り換え交渉や、重要度の高い(個人保証がついているものなど)ものの優先返済も検討できます。

一方で、資金繰りが厳しい事業者はまず資金計画の精査を行います。その結果によって金融支援の検討を行い融資の相談を行っていきます。特に、資金繰りが厳しい事業者では、時間が限られていることが多いため早めの行動をお勧めします。

早めの相談があれば、対応の仕方が変わる可能性もあります。その意味でも資金計画は重要となってきます。

資金繰り稼ぐ力対応
Aプロパー融資へ、金利交渉、個人保証有債務の弁済
B借入継続や増額借換え、収益改善、事業再構築
C資金計画の精査、金融支援相談、資本基盤の強化
D資金計画の精査、金融支援相談、収益改善(猶予時間が少ない)
(参考)事業者の実情に応じた対応

アクションプランと伴走支援がキーワード

なぜアクションプランが大切なのか

今後の金融支援のキーワードとなってくるのが、①アクションプランと②伴走支援です。

コロナ禍はゼロゼロ融資などで当面の資金手当てが行われていました。緊急事態ということで返済見込みが薄いところにでも貸し出しがあったわけです。

しかし、お金を借りた事業者は当たり前ですがどこかで返さないといけません。

そして、どうやって返すかというと、その返済原資は利益になります。収益(損益計算書)を改善して利益が出る体質へ変えていかなければならないわけです。そのため、金融機関としても、これからの融資対応として、借入金を返せるだけの事業計画書を示して欲しいと考えます。

ただ、事業計画書だけだと、絵に描いた餅になってしまう可能性もあります(ただ、数字を積み上げただけで根拠が薄いなど)。そのため、その事業計画を達成するために具体的に何をするのかを重視します。それをアクションプランとして作成をお願いしています。

そして、そのアクションプランを一緒にチェックして、PDCAサイクルをまわしていきましょう(これが伴走支援)というのが、今後の融資のポイントとなってきます。

少し話は逸れますが、以前自己啓発系のセミナーを受講したときに講師の先生が話していたことです。

その先生も若いときは年に何十回もセミナーを受講していたそうです。しかし、セミナーを受講したことで満足して自身の成長にはあまり役に立たなかったと。

そこで気づかれたのが、「セミナーの受講回数よりもその話を如何に行動に移すか」が望む結果につながるということでした。

誰しも行動しないといけないとは頭ではわかっています。ですが、「面倒くさい」だったり「怖い」といった感情が先に出てきて行動を止めてしまいます。それらの感情を如何に克服していくかで結果が変わってきます。

私は、大手飲料メーカーの「やってみなはれ」という言葉が好きです。どんなに立派な計画を立てても行動しなければ、何も変わりません。

事業計画の作成と並行して、行動することも大切です。融資の場面に限らず、今後はアクションプランが大事になってきます。

伴走支援は一緒にサポートしてくれるパートナー

行動しないと何も変わらないということは、みなさんわかっていますが、それでもどう動いていいかわからないというご相談もあります。

そういう時は、伴走者(パートナー)を活用することをお勧めします。例えば、会社の決算書でも自分で分析して理解する場合と外部から報告を受けた場合では違う気づきがあるかもしれません。

筋トレやトレーニングでも一人で計画して実行できる人は問題ありませんが、ライザップのように一緒に支援してくれる人がいた方が結果は出やすいと思います。

事業計画ないしアクションプランを考え実行していく場合も、伴走者がいるといないでは大きな違いが出てくると思います。

まとめ

金融機関の融資の中でも最近よく聞くキーワードが「アクションプラン」と「伴走支援」です。

伴走支援は、金融機関ないし普段接する機会が多い会計事務所などがその役割を担うことが多いかと思います。

一人ではなかなか進捗管理などが難しい場合でも、伴走者(パートナー)がいれば、数字を切り口にした客観的な意見なども聞け、事業を俯瞰しやすくなると思います。また、伴走者には気づきを与える役割も期待されます。

アクションプランは、融資に限らず重要なキーワードです。上記でも述べましたが、事業計画書を作ったはいいけど、振り返りもせずそのまま埃をかぶってしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

はたまた、事業計画なんか作っても意味がないよというお声も聞きます。ですが、それは事業計画を作成する本質的な意味が理解できていないだけかもしれません。

アクションプランを含めた計画を立てることは、これからますます重要になってくるかと思います。

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