会計業界にいると、「クラウド会計」はよく聞く言葉です。そのため、クラウド会計と聞くとすっかり定着したものだと思っていました。
しかし、最近クラウド会計のメリットまではあまり知られていないことを実感することがありました。
私自身はクラウド会計を使っていて、従来型の会計ソフトより「便利になった」、「楽になった」と感じる点は多々あります。そのため、経理業務を効率化したいという方には是非検討して頂きたいという思いがあります(ただし、全ての人に合うわけではなく、業種、規模の相性はあります)。
また今年の10月からはインボイス制度が始まります。インボイス発行事業者になると、インボイスに対応した請求書等を作成しなければなりません。そのため、経理まわりの業務にも変更が必要となってきます。
そのため、いま一度「クラウド会計の特徴」とインボイス導入をきっかけにした経理業務の効率化について考えてみます。
- 経営者の方、又は親族の方が経理をしている会社
- 不動産の申告、副業の申告がある方で帳簿を自身で管理されたい方
- 経理のやり方が5年以上変わっていない方
- 経理がもっと楽にならないかと悩んでいる方
クラウド会計ソフトの特徴は
当事務所では、「マネーフォワードクラウド」というクラウド会計ソフトをメインで使っています。そのため、ここではマネーフォワード会計を中心にお話を進めていきます。
自動連携機能
経理の仕事の一つに、帳簿の作成があります。領収書、請求書や通帳から伝票を作成して入力をする作業です。
クラウド会計では、事前にネットバンキングと連携することによって、通帳やクレジットカードのデータを元に、自動仕訳を行うことができます。
最初に科目を設定したり、仕訳データのメンテナンスが必要だったりしますが、AIが仕訳を学習してくると、仕訳の入力作業自体は激減します。
毎月の「会計業務」にかかる時間を約2分の1に短縮
「MoneyForwardクラウド>特徴」より抜粋
ちなみに、マネーフォワードクラウドのホームページでは、会計業務時間が約1/2に短縮と書いてあります。私も、実際に時間を図ったことはないですが、作業時間が確実に短くなったことは実感しています。
ただし、注意点としてAIが自動連係仕訳の学習をするまでは①初期設定、②仕訳のメンテナンス、をする必要があります。そのため軌道に乗るまでは少し辛抱?が必要です。
データ共有
クラウド会計はその名前のとおり、会計データをクラウドに預けてあります。そのため、パソコンとアカウントIDがあれば、どこからでもアクセスできるのが特徴です。
想定する使い方として、次のようなものがあります。
- クラウド上でデータ共有が出来るため、社長と会計事務所で最新のデータを元に打ち合わせができる。
- 経理の人が入力したデータを、社長が出張先からでも確認出来る。
- 紙の試算表を打ち出す必要がない。パソコン、タブレット、スマホがあれば会社の数字が確認出来る。
どこでも使える、どこでも確認できる(社長にとってはこちら)が便利な機能です。
他の機能との連携
クラウド会計は、他の会計以外の機能と連携をすることが可能です(マネーフォワードを中心に書いています)。
下記は連携できる機能の一部抜粋になります。
- クラウド請求書(見積書・請求書作成、顧客管理)
- クラウド経費(スマホで経費精算)
- クラウド勤怠(紙のタイムカードからの脱却)
- クラウド給与(クラウド勤怠と連携)
- その他
特に、請求書はインボイス制度に対応するために検討されている方も多いかと思います。規模が大きい会社では、専用の販売管理システムを導入されますが、シンプルな機能で問題なければ「クラウド請求書」はお勧めです。
Excelなどで請求書発行をされている会社は、クラウド請求書を活用して、顧客名簿も一緒に作成するという方法も出来ます。
インボイスを機に現在の業務フローを見直してみる
経理業務の効率化
2023年10月から始まるインボイス制度。インボイス発行者は制度開始までに請求書等の書式を新しいものに変更しなければなりません。
強制的に変更しないといけないのであれば、現在の業務フローを一緒に見直しするのも一考です。
例えば、
「経理まわりの業務効率化」を目的とした改善案
まずは現在の状況把握から。その中で、課題を感じているもの、もっと楽にできるものはないか、などの意見を抽出して「課題の見える化」を。
課題が見えたら、コストをかけずに効率化できるもの、大きくシステムを変えなければいけないもの、コストをかけても変更した方がいいもの、など様々な意見が出てくると思います。その中で、着手できそうなものから始めてみてはいかがでしょうか。
私の場合は「もっと楽にならないかな~」というのが、業務効率の動機です。ITなどを使って楽になるところは楽をして、その分の余った時間を他の仕事に使えればと思っています(もちろん、品質は落とさず効率化を目指す方向です)。
↓↓↓下記の図は、経理まわりの業務を整理する一例
IT導入補助金も活用
このIT導入補助金は、中小企業の事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する場合に、その経費の一部を補助する制度です。(IT導入補助金HP https://www.it-hojo.jp/ )
インボイス関連では、やはりインボイスに対応するためのシステム周り(請求書、会計ソフト、POSレジ等)の投資に補助が出るのは助かります。
特に、小規模事業者では間接部門(直接収益を生まない請求書、会計ソフトなど)への投資は慎重になります。IT導入補助金の活用は、そのような投資への負担を軽減してくれる役割もあるので有効活用したいものです。
まとめ
クラウド会計の特徴とインボイス導入をきっかけとした経理業務の効率化についてまとめました。
まだクラウド会計は万人に受けるものではありませんが、そのメリットは多々あります。今後、ITが更に進化して利便性の高い会計ソフトが出てくるかもしれませんが、現時点ではクラウド会計は有力な選択肢の一つです。
また、インボイス導入を機に経理まわりの業務が変更になります。業務の見直しや請求書ソフトを変更される方は、一緒に業務フローの見直しも検討されてはいかがでしょうか。その際に、ソフトウェアの変更などもあれば、「IT導入補助金」もご検討ください。