例えば、あの芸能人の名前なんだったかな~と、その時はわからなくても、突然思い出したという記憶はないでしょうか。
人間の脳はとても合理的にできており、効率的に情報を取捨選択し、必要な情報だけをインプットしています。そのため、一度必要なことに意識を向けると脳はその情報の収集を始めます。その際に使われる脳の機能をRAS(ラス)と言います。日本語では脳幹網様体賦活系(のうかんもうようたいふかつけい)と言います。
今回は以前から本やセミナーを受講して気になっていた脳の働きについての話です。
脳の働きはわずか3%?
普段、私たちの脳はわずか3~10%程しか使われていないそうです。なぜ、3~10%程しか使われていないのでしょうか?
人は意識しているか否かにかかわらず毎時、毎分、毎秒多くの情報に触れています。その様々な情報のなかで、脳がこれはいる、これはいらないと情報を取捨選択しています。すべての情報を脳が処理をしていたら、莫大なエネルギーが必要となり、脳はパンクしてしまいます。そのため、脳は3~10%程しか使われていないそうです。つまり、脳は全ての情報からあなたにとって重要度の高い情報だけを拾い上げ、意識にあがってくるようにしているのです。
それでは、重要度の高い情報、自分が求めている情報を意識的に集めることはできないのでしょうか。そのヒントは脳の機能にあります。人は「何かに強い関心を持つと、そのことに関する情報を優先的に取り込む」ようになっています。
街中で気になっていた車をよく見かけるようになった気が・・・
例えばこのような経験はありませんか? あなたは車を買い替えたいと考えています。今人気のSUVにしようと思っているけど、どれがいいかなと検討中です。すると、あなたの脳は無意識にSUV車の情報を収集してきます。Googleの検索エンジンを使ったみたいに、関連する情報を集めてくるのです。すると、不思議なことにあなたの日常生活で普段よりSUV車を見かけることが多くなった気がします。
これが、関心を持ったときの脳の働きです。周りの車の台数が増えたわけでなく、今まで意識に届いていなかった情報が、遮断されずに意識に届くようになったわけです。
では、この脳の働きをビジネスでも活用できないでしょうか?
経営計画と意識することの大切さ
以前、経営者の方が話された言葉で印象に残っているものがあります。創業者の社長が、後継の息子さんにおっしゃっていた話ですが「社長業は体は休んでいても、頭は常に仕事のことを考えておかないといけない。オンのときもオフのときも頭の片隅にずーと課題をおいて考えておくと、突然答えが出ることがある」と。
この経営者の方は「問題を認識し、関心を持つことにより、無意識化でも課題の解決方法を探していた」のだと思います。
この考えは会社の経営にも応用できると考えます。目標もなく無計画な経営と、目標を立て計画を考えて取り組む仕事では明らかに違いが出ます。
例えば、会社経営をマラソンに置き換えてみると。今年のフルマラソンが2時間30分で完走出来たとしましょう。来年の目標を10分短縮の2時間20分と決めました。脳は10分短縮するという目標を認識し、それをクリアするためにどうすればいいか深い関心を持ちます。すると、その10分を埋めるために意識があるときも無意識のときもどうしたら早く走れるか脳が検索し情報をあげてきます。
経営計画もこれと同じです。真剣に目標を立てるとそれを達成するために無意識のときでも答えをさがします。脳は、目的があるとアンテナを立て、自動的に情報収集してくれる優れた機能をもっているのです。
そう、「意識するからこそ出る答え」もあるのです。
稀に経営計画をつくっても、意味がないと言われる経営者の方もいらっしゃいます。そういう方にこそ、「意識する」ことの大切さを知ってほしいと思います。
まとめ
意識することによる脳の働きから、その役割について説明しました。
人間の脳は本来の容量の3~10%程しか使われていないとも言われます。脳の機能を活用することで、今まで見えてなかったものが視覚に入ってきたり、情報が入ってきたりします。
これは、仕事でも同じで「現状を認識し課題を意識する」ことで、脳にアンテナが立ちます。すると、意識しているときでも、無意識のときでもそのことに関する情報が優先的に意識にあがってくるようになります。
プライベートでもビジネスでも、「意識すること」を一度試してみてはいかがでしょうか。