会計の仕事をしていると、「資金繰り表」という言葉はよく耳にするし、言葉にします。
資金繰り表は、現金収支をまとめた表になります。将来の現金の収入と支出を記録することにより、現金の動きを把握することができ、資金ショートなどを事前に予測し対応を考えることができます。事業運営には必須の資料の一つと言えるでしょう。
それでは、実際に資金繰り表を作成している会社はどれくらいでしょうか。必要性はわかっているけど・・・、作り方がわからない・・・、もっと簡単に作れないの・・・、様々な意見はあるかと思います。
資金繰り表はできるだけ簡単に作成でき、わかりやすく、必要な情報が伝わればいいと考えます。そこで、Excelを活用した資金繰り表について説明していきます。
資金繰り表を作成するメリットは
一般的に、資金繰り表を作成するメリットとして、黒字倒産を防ぐことがあげられます。つまり、企業は利益がマイナスでも運営できますが、資金がマイナスとなると運転資金がなくなり、企業運営ができなくなるためです。最近では、「キャッシュフロー経営」というワードも聞きますが、現金収支を中心に据えて経営を行っていくことを指します。
もう一つ資金繰り表を作成する必要性は、資金収支は損益計算書では見えてこないことがあげられます。損益計算書は、一定期間の利益を計算するものであり、「売上-費用=利益」という式で計算されます。そのため、実際の資金収支と利益はイコールにならない場合があります。
以上のような理由から、経営管理上、企業の資金状況を把握しておく必要があるのです。
※資金と利益の関係は資金繰りを理解する上でも重要です。そのためどこかで記事にする予定です。
自社の資金状況をどれくらい把握しているかがわかる質問です↓↓
「毎月の運転資金はどれくらい必要ですか?」、「どれくらいの現金が手元にあれば安心ですか?」ということをお聞きします。御社ではどうでしょうか・・・
資金繰り表はExcel+ピボットで作成するのがおすすめ
資金繰り表の作成方法は、手書き・Excel・会計ソフトに附属しているもの、の3つが考えられます。ここでは、一番実用的なエクセルでの作成を前提にすすめていきます。
資金繰り表は、資金手当ての緊急度の高さから、日次資金繰り表 > 週次(旬次)資金繰り表 >月次資金繰り表と分かれます。作成方法は同じですが、期間を1日単位~月単位と任意で設定します。
ちなみに、エクセルフォーマットはネット上でも沢山公開されていますが、ここでは参考として「日本政策金融公庫」と「鹿児島銀行」のリンクを貼り付けしています。
日本政策金融公庫>各種書式ダウンロード https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_chusho.html
鹿児島銀行>資金調達サポート https://www.kagin.co.jp/houjin/202_support/202_104.html
Excel資金繰り表を作成してみよう
事前に必要な資料
①直近までの試算表データ(現金出納帳、預金出納帳)
②将来(6カ月、1年、5年など)の売上計画、支払計画、投資計画、人員計画、融資計画
※短期計画は、直近の財務推移データを参考にしながら、長期計画は会社の経営計画を参考にします。
手順1(直近データの整理)
現金出納帳、預金出納帳をCSVダウンロード。エクセルに貼付け
現預金の入りと出を「収入・支出」で分類。勘定科目を「キャッシュフロー科目」で分類仕分けする。
手順2(将来データの整理)
将来予測のデータをエクセルのデータ管理欄に入力
ポイントはあまり細かくせず、大きな分類で入力していく。
手順3(ピボットテーブルを使って計算)
Excelのピボットテーブルを使ってデータの整理。大分類・中分類・小分類は会社の必要性に合わせてカスタマイズ。
併せてグラフもデータ連携で作成すると視覚的にわかりやすいです↓↓↓
資金繰り表作成時のポイントは
資金繰り表の目的は当然ですが、自社の資金状況を把握することにあります。あくまでも内部資料の位置づけです。そのため作成自体にあまり時間はかけたくないものです(ただし、将来計画については熟考します)。
本質的なお金の流れがわかればいいので、簡略化できるものはどんどん手抜きしていきましょう。
まとめ
中小企業はとくに現金残高の増減を一つの指標とすることをおすすめしています。いくら利益が出ていても、現金がなければ会社はまわっていきません。そのため、自社の資金状況に応じた資金繰り表を作成し、現金の見える化を行うことが重要です。
一方で、「資金繰り表の作成がわからない」、「詳細なものでなくていいので時間をかけずに作りたい」という声もよくお聞きします。
そこで、エクセルで作成ルールを決めてなるべく簡単に資金繰り表が作成できればと思い、この記事を書きました。
資金繰り表の作成は作業時間なのでできるだけ時間をかけずに。その先の資金状況を考え作戦を練る時間を増やすことの手助けになれば幸いです。
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